「緻密なミザンセーヌで知られる監督が、写真では正反対の道を行く。何ひとつ演出しないこと。」

Park Chan-wookが、写真家としてヨーロッパで初めて名前を掲げた。展覧会のタイトルは《Park Chan-wook, par un matin calme》。「静かな朝に」という意味のフランス語だ。会場はフランス・アルルのLee Ufan Arles。世界最大の写真祭、アルル国際写真祭(Les Rencontres d'Arles)の公式関連プログラムとして7月初めに開幕し、10月4日まで続く。今年で140年を迎えた韓仏国交樹立を記念する場でもある。釜山に開館したラルフ・ギブソンの美術館の開館展と、同じ流れの上にあるわけだ。

監督Park Chan-wookと、写真家Park Chan-wook

壁にもたれて横を向くPark Chan-wook監督のモノクロのポートレート。
監督であり写真家のPark Chan-wook。大学時代から45年以上、カメラを手放したことがない。画像は国際ギャラリー提供。

実のところ、彼の写真は趣味とは呼びにくい。大学で哲学を学んでいたころから45年以上カメラを手放さず、Instagramの@pcwpcwpicには映画の宣伝ではなく写真作品が積み重なっていく。ギャラリーデビューもすでに果たした。2022年秋に国際ギャラリー釜山で開いた初個展《君の表情》(너의 표정)である。同名の写真集に収めた作品から30点ほどを選んで展示した。今回のアルル展はその次の一歩であり、ヨーロッパの舞台への最初の一歩だ。

演出を手放す演出家

Park Chan-wookの写真作品。港の水産物売り場の前、氷を満載したトラックのそばの青い防水シートの上にクジラが1頭横たわり、ひとりの男がスコップで氷をかき出している。
港の朝、氷のトラックのそばのクジラ。日常の中で、その瞬間にだけ現れる奇妙さと違和感。ⓒ Park Chan-wook、国際ギャラリー提供。

映画でのPark Chan-wookは、画面の中のすべてを統御する人だ。ところが写真の前では逆になる。意図的な演出を削ぎ落とし、目を引いた日常の瞬間をそのまま写す。石や木のような自然、壁に掛かった黄色いケーブルのような産業の痕跡。天気や光で毎回姿を変える対象を前に、その瞬間にだけ現れる美しさと奇妙さ、そして違和感をつかまえていく。

撮影現場で撮った俳優たちの姿も、今回の展示に並ぶ。役に入り込んだ張りつめた顔ではなく、テイクとテイクのあいだの表情だ。Park Chan-wookは、彼らもまた自然な風景の一部だと言う。出品作は、ル・フィガロの美術評論家ヴァレリー・デュポンシェルとともに、デジタル以降の作品から選んだ。

Lee Ufanの館で

色あせた石灰壁に掛かるLee Ufan Arlesの石の銘板。
Lee Ufan Arles。16世紀の邸宅オテル・ヴェルノンを安藤忠雄が改修し、2022年に開館した。

会場となったLee Ufan Arlesも、物語を添える。16世紀から18世紀にかけて建てられた邸宅オテル・ヴェルノンを安藤忠雄が改修し、2022年に開館した場所で、Lee Ufanの石と鉄が置かれた静かな空間だ。余白を扱う画家の館に、演出を削ぎ落とした監督の写真が掛かった。「静かな朝」というタイトルに、これほど似合う場所もそうないだろう。

まとめ

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出典は国際ギャラリーの公式チャンネル、アルル国際写真祭(Les Rencontres d'Arles)、Lee Ufan Arlesの公式資料。開館時間と休館日は美術館の公式チャンネルで確認してほしい。情報の変更が確認できしだい、この記事に追記する。