「7月は個展がとりわけ多い。20年を重ねた顔たち、月の地形、光州にやって来たドキュメンタリー写真賞。そして夏をまるごとまたぐ大きな展示が、その隣に並ぶ。」

6月がひと月限りのグループ展でにぎわったとすれば、7月はひとりの時間を長く見つめる個展と受賞者展が前に出る。短いもので3週間、長いものは翌年の春まで続く展示が同じ月に重なる。最後の週末の一度が7月を分ける。ひと月のうちに終わるものから整理する。

7月中に閉じる3つの場面

Kwak Myung-woo〈写真の海〉のポスター。明るいクリーム色の壁の下のベンチに、カラフルな帽子と服の写真家9人が並んで座り、手を振って笑っている。上部には縦にハングルで作家名と展示名、そして青い20thの文字がある。
Kwak Myung-woo〈写真の海:20年の顔たち〉。SPACE 22(ソウル・江南)、7.2 – 7.22。

Kwak Myung-woo、〈写真の海:20年の顔たち〉(사진바다: 스무 해의 얼굴들)
SPACE 22(ソウル・江南大路390 ミジンプラザビル22階)。7.2 – 7.22。オープニング 7.4(土)PM 4:00。月〜土 11:00 – 19:00/日・祝日休館。
20年間カメラの前に立たせてきた顔たち。人物を訪ね歩いた20年あまりの記録をひとところに集めた個展である。ポスターのベンチに並んで座る人々が、その時間の顔たちを代弁している。

Choi Donghun〈Selenography〉のポスター。ざらついた紙の質感の上に、白く光る月のような円盤と、航空写真のように見える地形の断片が配置され、上部にSelenography、その下にChoi Donghunと書かれている。
Choi Donghun〈Selenography〉。ギャラリー・トマ(大邱)、7.11 – 7.26。

Choi Donghun、〈Selenography〉
ギャラリー・トマ(갤러리 토마、大邱)。7.11 – 7.26。オープニングレセプション 7.11(土)。
月面の地形を記録する学問、月面学(selenography)からタイトルを借りた。再建形成外科医でもある作家が、「表面」と「地図」を重ねて読む。月のクレーターと体の皮膚、航空写真と組織の肌理が、ひとつの画面の中で地形になる。アンチャーテッド・ファウンデーション(Un.Charted Foundation)企画。

2026オンビット写真賞 部門別最優秀賞受賞者展のポスター。濃い青緑の地に黄色い文字で2026とハングルの賞名が書かれ、その下にモノクロの肖像、クジラの影、海に向いた室内、自転車が並ぶ通りなど受賞作4点が横に並んでいる。
2026オンビット写真賞 部門別最優秀賞受賞者展。ギャラリー・ヘユム(光州)、7.14 – 7.26。

2026オンビット写真賞(온빛사진상)部門別最優秀賞受賞者展
ギャラリー・ヘユム(갤러리 혜윰、光州)。7.14 – 7.26。主催 オンビット(ONBIT)。
ドキュメンタリー写真を守ってきたオンビット写真賞の、今年の部門別最優秀賞4人を集めた。Kim Heung-gu〈トゥモン:島、石、顔〉(트멍: 섬, 돌, 얼굴)(富士フイルム写真賞)、Kim Da-min〈I AM YOU〉(シーリー写真賞)、Lee Jong-su〈不在の風景たち〉(부재의 풍경들)(ヘウォン新進写真家賞)、Lee Myeong-geon〈By Bike〉(ヘウォン大学生写真賞)。大邱のアートスペース・ルモス(6.10 – 6.27)で始まり、光州のヘユムを経て大田のイゴンギャラリー(이공갤러리、9.8 – 9.21)へと続く巡回展だ。この夏の停車駅が光州である。

夏をまたぐ3つの場面

ラルフ・ギブソン〈French Allure〉のポスター。濃いワイン色のベルベットの前で、金箔のはげたバロック調の額縁の角をクローズアップし、上部に白いセリフのイタリック体でFrench Allure、その下にRalph Gibsonと書かれている。
ラルフ・ギブソン〈French Allure〉。コウン・ギブソン写真美術館(釜山)、6.17 – 2027.4.10。

ラルフ・ギブソン Ralph Gibson、〈French Allure〉
コウン・ギブソン写真美術館(釜山・海雲台区 中洞1路37番ギル10)。6.17 – 2027.4.10。火〜日 10:00 – 18:00/月休館。観覧料 3,000ウォン。
釜山・海雲台に韓国初のラルフ・ギブソン常設美術館が開館し、その記念として掲げた展示である。韓仏国交樹立140周年に合わせ、彼がフランスで制作した作品を集めた。アメリカ写真の巨匠が、フランスの表面(ベルベット、金箔、影)をどのように自分の言葉へ移したのか。翌年の春まで開いているので、夏の釜山旅行に組み込んでおきたい。

〈マーティン・パー:We Are Martin Parr〉のポスター。青いサングラスをかけて日光浴を楽しむ女性を上から撮ったマーティン・パーの写真の上に、赤い波模様のタイポグラフィでWe Are Martin Parrとハングルの「マーティン・パー」が繰り返し印刷されている。上部に会期とソウル市立写真美術館のロゴ。
マーティン・パー〈We Are Martin Parr〉。ソウル市立写真美術館、7.16 – 10.18。© ソウル市立写真美術館。

マーティン・パー Martin Parr、〈We Are Martin Parr〉
ソウル市立写真美術館(SeMA)。7.16 – 10.18。観覧無料。
昨年12月にこの世を去ったマグナムの写真家。彼を送ってから初めて開かれる、アジアでの大規模回顧展だ。初期のモノクロから最後の時期のカラーまで約500点、代表的なシリーズ14、そして彼が生涯にわたって作った写真集89冊がひとところに並ぶ。2000年代初めに韓国と北朝鮮を撮影した作品も、今回初めて公開される。マグナム・フォト、マーティン・パー財団の共同企画。

RELATED・単独記事 マーティン・パー、没後初の回顧展:シリーズ14と写真集89冊まで 展覧会名・規模・主なシリーズ、そして初公開となる2000年代初めの南北朝鮮の撮影分まで。この展示だけを掘り下げてまとめた単独記事がある。→
Kim Jeon-gi〈記憶のかたち〉の作品画像。曇り空の下、観光地の土の道の脇に、スカートがふくらんだマリリン・モンロー像、金色の馬の造形物、装備を背負った兵士像、花が植えられた洋風の植木鉢が一緒に置かれ、シュールな風景をつくっている。
Kim Jeon-gi〈記憶のかたち〉。江陵市立美術館、7.22 – 8.4。

Kim Jeon-gi、〈記憶のかたち〉(기억의 형상들)
江陵市立美術館。7.22 – 8.4。
観光地に建てられた人工の造形物(マリリン・モンロー像、金の馬、兵士像)をたどっていく。誰かの記憶をまねようと作られたかたちが、実際の風景の中でずれていくことで生まれる、少し寂しくて見慣れない「記憶の風景」。8月の第1週までしか開いていないので、7月のうちに押さえておくほうがいい。

「7月は最後の週末がいちばん慌ただしい。22日にKwak Myung-wooの20年が閉じ、26日にはChoi Donghunの月とオンビット写真賞の光州の停車駅が同じ日に幕を下ろす。そのあいだの22日、江陵でKim Jeon-giが始まる。」

まとめ

リストの出典は、インスタグラム@sajinyesul_photoartの7月のキュレーションと、各美術館・ギャラリーの公式チャンネルである。日付は公式チャンネルに基づいて整理した。開館時間と休館日は事前に確認してほしい。情報の変更が確認できれば、この記事に追記する予定だ。