「110フィルムを作るところが、一つから三つに増えた。この世界では、これは事件だ。」
110は1970年代にコダックが出した超小型フォーマットです。ネガ1コマが13×17mm、本当に爪くらいの大きさ。しばらく途絶えていたのを ロモグラフィー(Lomography) がよみがえらせ、なんとかつないできましたが、事実上そこ1社だけでした。そこへフィルムの詰め替えで知られる Reflx Lab が2種を加えたので、作るところが一つから三つに。文字どおり、市場が倍以上に広がったわけです。
始まりはちょっと意外です。Reflx はもう一つの製造終了フォーマット 127 を作っている途中で、副産物として110を手に入れたのだそうです。共同創業者のヨンシャン(Yongxiang)は Kosmo Foto に「一種の幸せな偶然」と話しています。カートリッジは Reflx が 3Dプリント で自作したもので、1本に 24枚 入ります。
Fortuna C200、毎日のカラーネガ
Fortuna C200 は、中国の Lucky C200 カラーネガを110カートリッジに巻き直したフィルムです。ISO 200、C-41現像。色が暴れず素直なので、日常のスナップによく合います。ただ13×17mmの爪ほどのネガなので、35mmより粒子は粗く、ディテールは柔らかくほどけます。欠点というより、110というフォーマットの質感そのものです。
100R、爪ほどのスライド
100R はもう少し変わり種です。16mmのエクタクローム(Ektachrome) ムービーフィルムを110に巻き直した カラーリバーサル(スライド) です。110でスライドを撮ること自体、なかなかないことですよね。ISO 100、E-6現像で、エクタクロームらしく澄んだ鮮やかな彩度に、しっかりしたコントラスト。値段は Fortuna より少し高い US$24.99。スライド(E-6)現像を受けてくれるところを、前もって確かめておくといいでしょう。
どんな人に向いている?
どちらも標準の110カートリッジなので、ペンタックス オート110 やロモグラフィーの110カメラにそのまま入ります。引き出しで眠っていた超小型カメラをもう一度取り出す口実が、またひとつできたわけです。爪ほどのネガならではの粗い粒子と柔らかいディテールは、シャープさを求める人には弱点でしょう。でも小さくて軽いカメラで気軽に撮る楽しさを知っている人には、まさにそこが魅力です。
すごい新技術というわけではありません。それでも一つしかなかったフォーマットに選択肢が生まれ、110でスライドまで撮れるようになりました。夏にオート110をひとつ持って出かける理由としては、これで十分ではないでしょうか。