「撮る前から色が決まっているフィルムがある。KONOがまさにそれだ」
オーストリア・ウィーンのKONO Manufakturは、以前から「エフェクトフィルム」を作ってきたところです。フィルムの表面にあらかじめ色をのせたり、感光特性を少しひねったりして、ふつうのフィルムでは出ない色を撮影前から仕込んでおくんです。今回の3本、MOJO · OFFBEAT · BEBOPもその延長線上にあります。名前はどれもジャズから。拍をずらすオフビート、即興のビバップ、そして雰囲気を意味するモジョ。
数字は3本ともまったく同じ。違うのは色だけです。
MOJO:ピンクとミントのあいだ
MOJOは明るいところにピンクやマゼンタが回り、影や中間調には淡いミントがかかります。ひとつの画面で2色に分かれるので、なんでもない空の1枚もパステルの夢のように変わります。コントラストは低めで、トーンはやわらか。3本のなかでいちばん夢見心地なフィルムです。
OFFBEAT:すべてを緑に
OFFBEATは画面をまるごと緑・青緑のほうへ引っぱっていきます。クロスプロセスを思わせる、3本のなかでいちばん強い色です。空も芝生も人の肌も、みんな少しずつ緑に寄るので、ありふれた場面を見慣れないものにひねりたいときに使います。好みは分かれますが、そのぶん効き目ははっきりしています。
BEBOP:日に焼けて色あせたほう
BEBOPは3本のなかでいちばん温かい色です。アンバーやゴールドがのり、彩度が少し落ち着くので、古いアルバムから取り出したばかりの写真のような気分になります。いちばん素直にきれいなので、エフェクトフィルムが初めてならここから始めるのがおすすめです。
使う前に知っておきたいこと
3本ともISO 200 · C-41なので、現像は近所のラボにそのまま出せばOKです。ただ、色がもう入っているフィルムなので、ふつうのフィルムのようにホワイトバランスがぴたりと合うことは期待しないでください。スキャンしたあと、色かぶりを生かしたり抑えたりしながら使うのが基本です。正確な色がほしいなら最初から別のフィルムを選ぶべきですし、逆に1本で雰囲気をまるごとまといたいなら、これほどのものはありません。
つまりこのフィルムたちが売っているのは「正解」ではなく「性格」です。ピンクとミントのMOJO、緑のOFFBEAT、アンバーのBEBOP。同じ1日を3つの気分で残してみたい人には、かなり楽しい3本です。