「フィルムが消えていった時代を過ぎ、いまはまた作られている。その流れの一つの軸が、中国で起きている。」
2012年春、中国のラッキーグループ(Lucky Group Corporation)がカラーネガフィルムの生産を止めた。かつてコダックと組んで処方に手を入れていた河北省保定のその工場は、カラーのコンベアを止め、モノクロのラインだけを残した。デジタルが市場を持っていったのだ。それから13年。そしてふたたび、缶が転がり始めた。
去年からあちこちで聞こえていた「Lucky がカラーをまた作る」という噂は、2025年春に実体をつかんだ。6月の最初の試作品が広東の小さなカメラ店から1箱、2箱と入り始め、7月の上海の見本市で正式に公開された。名前はシンプルで、Lucky Color 200。ISO 200、C-41、35mm 36枚撮りと120の両方がある。何より大きな意味は処方にある。今回は外部の協力なしの、Lucky 独自の処方だ。
戻ってきたカラー、Lucky Color 200
レビュアーたちが口をそろえる第一印象は「ニュートラルで、ほんのり温かい」というものだ。Kodak Gold 200 ほど黄色みが濃くもなく、Fujicolor 200 のようにシアンが立ってもいない。弱い赤かぶりが見えるか見えないかの程度に敷かれ、粒状性は同じ ISO 200 クラスのフィルムと比べて意外なほど細かい。このトーンは狙ったものだという。Lucky が自社の処方を作るときに「昔の Lucky カラーの味」を再現しようとした、という説明がついてくる。
ただ、流通はまだ狭い。第1弾は中国国内の一部の小売店を通してだけ出回り、海外には深圳の詰め替えブランド Reflx Lab を通じて少量が流れ出ている。価格帯も落ち着く前で、ばらつきがある。韓国にはまだ正規の輸入ルートがなく、日本や香港経由、あるいは Taobao の個人輸入で1箱、2箱と入ってくる程度だ。
Lucky のカラー復活は、突然の出来事ではない。モノクロの側で先に道を整えていた。2017年に SHD 100 が New バージョンとして戻り、2024年3月には SHD 400 がふたたび世界市場に出た。SHD 400 はもともと2000年代初めにコダックとの協力で生産され、2012年にカラーと一緒に製造終了したラインだ。およそ12年ぶりの復活ということになる。ハレーション防止層が薄く、ハイライトの周りに淡いグローがまとわりつく独特のトーンはそのまま生きている。
流れ続けたモノクロ、Shanghai GP3
Lucky が製造終了と復活のサイクルをひと回りする間、別のモノクロのラインはほとんど途切れずに流れてきた。Shanghai GP3 100 だ。1958年に上海の申貝(Shenbei)感光材料工場で初めて作られ、それ以来ずっと中国の国内市場を満たしてきた入門用のモノクロフィルムである。
長く知られずにいたが、2000年代初めにインターネットと香港の一部の転売業者が eBay に流し始めたことで、海外のフィルム愛好家の間でカルト的な存在になった。2016年に元の処方は一度製造終了したものの、その名前はまもなく上海建成撮影(Shanghai Jiancheng Photography)が引き継ぎ、2019年に新しい処方・新しいフィルムベースで再発売した。同じ名前の、別のフィルムになったわけだ。
1本の値段は35mm 36枚撮りで3.5米ドル前後。市場で最も安いパンクロマチックのモノクロフィルムの一つだ。ISO 100 の細かく落ち着いた粒子、安定したトーン、無理のないラチチュード。華やかではないが扱いやすい。学生や入門者、あるいは気軽に1本使える場を探している人のために、韓国の市場にも途切れず入ってくる1本である。
シネフィルムの中国流の広がり、Reflx Lab
Lucky が独自の処方でカラーを作り直す一方で、別の道を行く中国ブランドもある。深圳の Reflx Lab だ。自社製造ではない。コダックの映画用フィルム Vision3 のラインを35mmの写真用に切り分け、缶に詰め直す、いわゆる詰め替え(re-spool)方式である。
主力は3本。Reflx Lab 800(旧800T)は Vision3 500T をベースに、映画用のレムジェット(remjet)層を取り除き、一般的な C-41 現像で処理できるよう加工したもの。Reflx Lab 500T は同じ Vision3 500T だが、レムジェット層を残して本来の映画用 ECN-2 現像でいく正統派。Reflx Lab 250D はデイライトバランスのシネトーンだ。東西に離れた二つの会社が、似たパターンを並行して回しているのが面白い。片方はアメリカ・ロサンゼルスの Cinestill、もう片方は深圳の Reflx Lab。
両社は2023年、800T の商標をめぐって一度ぶつかった。Cinestill が「800T」そのものに権利を主張したのが発端で、最終的に Reflx Lab は「800T」という名前をやめ、「800」だけを使うことにした。小さく、急速に育ったフィルム愛好家の市場で起きた、初めての本格的な商標紛争だった。
フィルムがふたたび作られる道は一つではない。処方を新しく組む道、古い処方を受け継ぐ道、映画用フィルムを家庭用に移す道。道が分かれるだけで、流れは一本である。
結局は、消えないという意志
2010年代初め、フィルム市場が最も暗かった時期に、少なくないラインが消えた。Fuji Pro 400H、Kodak Ektachrome の一部、そして Lucky のカラーライン。同じころデジタルは何でもうまくこなせるようになった。だからフィルムは結局、思い出の中にとどまるだろうと誰もが予想した。
ところが2020年代に入って、流れは静かに変わった。Ektachrome E100 が戻り、Pentax 17 のような新しいフィルムカメラが作られ、Lucky がカラーを組み直し、Shanghai がモノクロのラインを受け継ぎ、Reflx Lab と Cinestill が映画用フィルムを家庭へ移す。やり方は違っても、指し示す結論は同じだ。フィルムは消えない。作り直されるか、受け継がれるか、切り分けられてまた缶に詰められる。
5ft magazine が今回のライブラリに Lucky Color 200、Lucky SHD 100/400 をまとめて登録したのは、そのためだ。一つのカタログの中で、同じ列に並べたくなる話が集まりつつある。次の1本を選ぶとき、もしかすると今度は缶に赤い文字が刻まれているかもしれない。